スリップウェアだけでなく、新たな技法、デザインにも取り組み、年々活躍の場を広げている小島さんですが、 昨年末には、サッカー界のレジェンド中田英寿さんが立ち上げた「にほんもの」ストアに参加されています。 

  日本の逸品を紹介するこのサイトで、小島さんの紹介文や写真も多く掲載されています。

  日本全国を巡り、「日本の物づくり」の良さを発信している中田さんのプロジェクトは、今世界中で注目を浴びています。

  この「にほん」+「ほんもの」ストアの参加で、小島さんの作品はますます入手困難になりそうです。                                   

                       *写真クリックで拡大します

長崎に魅了された船橋の画家椿貞雄

椿は昭和29年国画会を長崎で開催するための準備で初めて訪れました。

南国の持つ陽光、異国情緒豊かな風物、また長崎の人の親切や、歓迎に感銘を受けます。

宿から見る長崎港は美しく5色の光の波で輝いていました。空気がよくて魚が新鮮でたいそう気に入り


最初の訪問から亡くなる32年まで片道27時間かけて5回訪問しています。

多くの長崎作品を残し昭和35年長崎浜屋百貨店で遺作展が開かれています。

この20号の「長崎港の夕日」はその時に展示された作品です。

私も作品を追って同じ場所から長崎港を見て感激した思いがあります。

小島さんの作品の魅力の一つは、このような素晴らしい長崎で海に潜り蛸や魚を取り、様々な動物に接してきた体験や、

明るい風土の中で作陶生活をされていることが関係しているようにも思います。


小島鉄平さんの作品は動物紋のスリップウェアで人気ですが

今回は墨弾きという技法を使った作品の紹介です。陶芸技法については素人ですので解らない事が多いです。

墨弾きとは墨を使って白抜きの文様を作る技法で多くは磁器の白さと染付の対比の鮮やかさを狙って用いられます。

墨の中の膠が薄い酸化コバルトを弾くため施釉すると墨で描いた下地の白い部分と染付の青で文様を作ります。

施釉する前に墨を飛ばすために焼の工程を入れるので手間がかかります。(墨が残っていると釉薬も弾いてしまうあそれがある)


小島さんの作品は磁器ではなく陶器です。轆轤成形し、素焼き後墨で動物を描き、酸化コバルトや酸化鉄を流し墨文様を残し本焼きしています。

陶器での墨弾き、墨の膠の減少、どこで墨を抜いているのか等、聞いてみたいことが多いです。(説明をいただきました)

磁器の墨弾き作品は端正で美しくはありますがどこか冷たさを感じます。

小島さんの作品は暖かく、素朴で優しく、親しみを感じます。



スリップウェア陶板「虎図」2022(小島鉄平さん作)

小島鉄平さんの架空動物紋の作品

人魚紋スリップウェア8寸皿

人魚伝説は世界中にありますが半身が女性で下半身が魚のマーメイドスタイルは16,17世紀のイングランド民話が起源だといわれています。

多くの作家さんが取り入れていますがイギリスのバーナードリーチ氏も好んで用いた意匠です。

小島さんがイギリスの伝説動物を取り上げた動機を聞いてみたいと思っています。


龍紋スリップウェア7寸皿



龍は古代中国が起源だと思いますが日本でも古くから使われています。

日本人にはなじみ深い動物です。


ちなみにスリップ(化粧土)使った技法は古代文明からあるそうで古代中国文明から中東、ヨーロッパ地方に渡って行ったと思われます。

いま日本で言われているスリップウェアは16世紀、17世紀でイギリスで盛んだった陶器を指しています。


小島鉄平フォトギャラリー

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小島鉄平さんのスリップウェア動物柄が船橋に来ました。

色々な動物が軽妙なタッチと鋭い感覚で描かれています。

作品が放つ「剽軽さ」「やさしさ」「暖かさ」「力強さ」「厳しさ」が小さな変化を呼び

心豊かにしてくれます。

器は暮らしの中で寄り添い、幸せな生活を精神面で支えてくれます。

小島さんの作品から「民芸の精神」を感じます。


2021.9.6

銀座松屋で恒例の「第13回 銀座・手仕事直売所」が開催されます

期間は9月14日(火)~9月20日(月)迄です。

小島鉄平さんも毎年出品されています。たくさんの動物の器が販売されます

お気に入りの器に出会えると思います。ぜひお出かけください。

今頃は小島さんは準備で忙しいところだと思いますが、緊急事態宣言の延長が決まりそうで

予定通り開催されるか心配しています。

 

スリップウェア蛸紋尺皿
薪窯で焚かれています
重労働の末に「生まれてきた蛸」の大皿です。

2021.10.1

 

小島鉄平さんの「銀座松屋手仕事直売所2021」が無事に終了しました。

最終日は祝日だったので銀座の人出は多く、松屋の催事場も賑わいを見せていました。

小島さんはスリップウェアのデモンストレーションをしながら、多くのお客との会話を楽しんでいるようでした。

スリップトレイラーから素早くトレイルされ描かれる動物達、この様子を動画撮影したり、これからの新作品のお話を聞いたりと

楽しいひと時を過ごすことができました。

この時に見つけた小さなスリップウェアの動物紋ブローチ、まさに手仕事で小さくても一つ一つ違った表情を持ち美しさを感じます。